まるでだめなおたく
 

 

 
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暑いので、たまには。

忍千の小話なんぞを追記に畳んでおきます。

 

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はたはたと短い服の裾が舞う。

白く細い足の爪先を水に浸して全身に風を受けている姿はまるで比売神のように美しい。

滝の細かい飛沫も涼を得るのに一役買っていて、僅かに濡れて額に張り付いた前髪だけが重たげだった。



「忍人さん、涼まないんですか?」



王の装束を脱ぎ捨て、戦のときに纏っていた蒼い薄衣だけの千尋が忍人を手招きする。

今日は二人とも休暇をとっているため、常のような堅苦しい口調はしないと決めていた。

懐かしい呼び名に目を細めながら忍人は千尋が座っている大きな岩へと歩み寄る。

梅雨独特のじめじめとした空気が嘘のように、滝の周りは涼しく心地よかった。



「気持ちがいいな」

「でしょう?ふふ、やっぱりここに来てよかった」

「ああ、君の提案に感謝すべきだな。…身体だけではなく、心まで休まる気がする」

「マイナスイオンが出てるからかなあ。んー、本当に気持ちいいですね」



千尋の横に腰を下ろし、軍靴を濡らさないように岩の段差の上に足を置く。

爪先で水をぱしゃぱしゃと弾いている千尋は子供のように無邪気で、清らかだ。

この国を担う王だとは思えないが、それでも忍人は彼女の凛と立つ姿を知っている。



岩の上に置かれた小さな手の上に、そっと重ねる。

ぱっと顔を上げた千尋の頬はさっきまでにない赤味を帯びていた。

そ知らぬ顔をして滝を見つめる忍人だったが、手には僅かに力が篭る。

少しだけ冷えていた千尋の手に、忍人の手は暖かかった。



「……またこうして一緒に息抜きしてくれますか?忍人さん」



水から足を引き上げて、千尋はそっと忍人の腕に身を寄せる。



「君がきちんと政務をこなしているなら、そのうちに」

「…意地悪」

「臣下としては当然だと思うが?」



忍人の手が千尋の肩に回ったのが約束の証なのだと、千尋は気づいただろうか。

 

 

Comment

 

No title

甘い雰囲気の2人にお腹いっぱいです。
暑いだけでこんな雰囲気の甘いお話書いてくれるならもっと暑くなればいいのに…とこっそりと思ったマユコでした。
それにしても…将軍…さりげなくだけどちゃんと男の子なんだね…としみじみ思いつつ、ゴチソウサマデシタ!

NAME:マユコ | 2010.06.23(水) 08:05 | URL | [Edit]

 

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柚季@ゆず

Author:柚季@ゆず
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